金狐舎の裏庭

夫婦円満と家内安全の縁起物を描いている、金狐舎のブログ。制作の様子や、報恩謝徳の寺社参拝の写真を上げています。

星色のローソクと鉱物の話

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まだ20代になる前のこと。

無計画に社会に出た私は、若さにありがちな貧困状態だった。

 

冷蔵庫には、一つのおむすびとトマトジュースが一本。

服はよれよれ、髪はボサボサ。

その中でふらふらと引き寄せられるように入ったのが、鉱物を売るお店だった。

 

明日どうなるのかも分からない。そんなとき、お財布をひっくり返して買ったのは、小さなルチルクォーツ。それから、小金が入るたびに何かに飢えたように鉱物を買いに走った。

 

人間は面白い。食べるものより着るものより、明日の補償よりも、必要なのは地球の切れっ端だったのだから。

 

それから暫くして、お店は違うが別の鉱物ショップにお世話になることになり、奇しくも主人と結婚して子供を授かることになる。(客ではないが、本当に数奇な縁で)

 

人間は、決して最低条件が整っているから生きていけるのではない。この時の経験は、今でもずっと、私の心の中で息づいている。

 

 

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この度、星色のローソクというタイトルで新作をショップに載せました。

https://futagoya3.base.shop/categories/5431238

 

遠い遠い、どこかの場所にある星の色のイメージと、鉱物に触れてきた感覚を交差させて制作したものです。

 

水晶、藍玉、霞石。

六角形は、私にとってどこか地球の奥深くを思うカタチ。

 

これから寒くなって、夜が長くなってきます。
ローソクの灯りは、暮らしを優しく暖かいものにしてくれます。

ほんの少し浪漫と郷愁がある、星色のローソク。温かいものを飲みながら、ゆっくり過ごしたい夜にいかがでしょうか?

 

日々暮らせたらいい。それだけで十分。

 

もちろん、それは大切なこと。

だけど、何もかもを置き去りにして満たされることはないのが人間だから。

 

暮らしの中に、小さな灯火を。

今日の自分や誰かを想う、大好きな時間を。

そのお手伝いを、させていただけたら。