Instagramに載せた感想に、細かく書き加えてみました。あくまで私個人の感想です。それを踏まえた上でご覧ください。
調香会に行ってきたよ。の巻。
今年最後のセルフメンテナンスと思い、調香会に参加させていただきました。いつもオリジナルの香水を作ってくださる、徳島の調香師・香世。さんのリードで「結界/鎮守の森」というテーマでの香り作り。
20種類弱の香料を使い、それぞれの大切なものを守ってくれる森をイメージした香水を作ります。
能動的に香りを作る作業は初めてで、想像以上に隅々の感覚を使う感じ。
言葉にならないものを、これまた形のないもので表現する。
これまで、香世。さんに香水をお願いしたことは何度かあったのだけど、どれだけ繊細な作業をしてくださっていたのか…初めてありありと分かり、感動。
(口頭での説明は受けていたのですが、入ってくる情報量や配慮しなければならないことを、香料を組み立てることでリアルに体験するのは初めて)
そもそも、作る前に香料を限定してくださり、初心者でも形になるようにテーマや枠・その他諸々を設定をしてくださっていたから、良いと思える香りが出来たものの
全く真っ白な無限に広がる空間に、香料を自分でチョイスして配分しろ…と言われたらパンクしますね。
体の感覚の鋭敏さはもちろんのこと、それを組み立てるためのイメージの豊かさ・クライアントさんを慮る器の大きさ・最終的に人に渡せるようになるまでのプロとしての立ち振る舞い。
調香師が、なぜ調香「師」なのか?その理由を目の当たりにしました。
色々書きたいわ。ふんふんっ
それだけでなく、香りの働きの凄さ。
そもそも、この調香会というワークショップは『いい香り』を作ることが最たる目的では無く、意図することをカタチにしてみて、実際はどう感じるか?に触れてみることにあるとのお話。内面に触れる時間です。
イメージする・香りを組み立てる・出来上がった香りにフィードバックをいただく・帰ってみて改めて浮かんでくることなどを整理していく。
その中で、なるほど目には見えないけれど心の輪郭…というか、もっと奥深くの生命の輪郭が見えてくる。
時間と共に、よりはっきりとしていくのです。
香料が体を巡り巡って、意識の隅々が動いているのを実感するのが面白い。
『香りは記憶の奥深くに繋がっている』というのは、香り関連の話題が出る時に多方でお聞きする文言で、頭では「確かに、なんか分かるかも」程度には共感していましたが…
普段意識していないところに、どれだけ香りが届き・記憶に触れ・言葉以外のやりとりが起こっているのか。
生命の情報が詰まっている。そこに「私」がいることを、生々しくリアルに感じられました。…とでも表現したらいいのかな。
場合によっては、香りで人生が変わる人も居るのでは?と考えてしまう、稀有な体験。
おべっかじゃなく。それが香世。さんという「調香師」と共に扱う香りの可能性でもあり、人間の可能性そのものなのだなと思ってしまったのです。
それにね。
私はやはり、言葉じゃない方が受け取るのも伝えるのも楽なタイプなのだなと、改めて実感する時間でもありました。
言葉になっている部分って、本当に少ないものです。そこに「私」は居ない。自分の頭の中にもいない。
体の中にも外にも、展開してるフィールド全体が「私」なんだなって。(某漫画の技名みたいね)
「好きな香りと、その人にとって必要な香りはまた違う」とは、香世。さんの談。
いつも聞かせていただいていた香りの世界のお話が、ギューンと染み込んだ1日でした。
体験するって、楽しいね。